日曜万葉噺。今日もまた鹿の歌で行こうと存じます。来週は? …流石に、ねえ?

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んと、皆様に本稿をご覧頂いてる頃はどうなってるものやら。
例によって起稿してる前日午後のおらほう、常九月といわれた気持ちのいい秋晴れが続いてます。
まあ、気分の方は、同じく爽やかとはいかないんでけどね。
なんですか?ドジャースだかなんだかって、騒ぎ立ててるアレ。
まあ80億総白痴化ツールはしょんないよ、けどね。
天気予報みようとTV付ける都度、大リーグ中継なんぞをお相伴されられるのは有難くないですね。
天下の国営放送じゃないですか?国技でもないものを公共のメディア丸々塞いで流すってのは、どういう了見かねっ?!
んなもんは、観たいもんだけがケーブルTVの有料放送で視ればいいんですよ、
受信料けーせ!
またここに行き着きます。

さて、万葉集・『マゾヒズムに花札を!』連動で始めた鹿の歌…
違いますね、花札の10月になる一歩手前で始めたんでしたわ。
そうそう、奈良の高市郡ね。
その発言者の高市早苗氏の総理大臣指名も、すべったの転んだのの末、漸く纏まりかけた今日、またしてもこのネタで攻めましょう。
今日は後ろの巻から。
初っ端は巻十五3674からです。

草枕 旅を苦しみ 戀ひ居れば 可也の山邊に さを鹿鳴くも


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意識しないで書き始めたんですが、これ、遣新羅使人の歌ですわ。
作者は大判官の壬生使主宇太麻呂、引津の亭に船泊てて作る歌七首の二番目です。
引津とは福岡県糸島郡志麻村の海、糸島半島の韓亭と反対側、唐津湾に位置します。
一行は天候の関係でまたここで、足止め喰ったんですね。

さて歌の方と言うなら。
露骨な望郷の念ですわ、そうして故郷を思ってるとそれに呼応するように牡鹿がないてるよ、って趣向です。

妹を思ひ 眠の寢らえぬに 秋の野に さ男鹿鳴きつ 妻思ひかねて


それに続く3678は、更に一段具象化を進め、はっきり妻が、って出てきますね。
しかも(掛詞)、つがいの雌鹿をと結びます。
大判官の続いて名無しの遣新羅使が詠んだ歌です。
一つ置いた3680も似たような趣旨ですわ。

夜を長み 眠の寝らえぬに あしひきの 山彥響め さ男鹿鳴くも


これにて七首が完了します。

さて、もう一首、巻十六から拾いましょうか。

所射鹿を つなぐ川邊の 和草の 身の若かへに さ寢し子らはも


これは少々注釈しないとわかんないかな?
但し、さきにネタ晴らしすれば上句は全部が『若』を導き出す為の序詞で、歌意は、若い頃添い寝したあの娘は今?に集約さけす。
えーっと、所射鹿は射られたシカ、つなぐ=認ぐ、とは傷ついた獣の足跡やら血痕やらを次々つないで足取りを追うって意味です。
その柔らかい草…

さてこの歌も、右の一首とのみの左注があるだけの、作者不詳の歌です。
岩波の萬葉集の欄外注には、日本書紀・斉明天皇の歌の類歌とあります。

さあて、続いてきたシカの歌、いくらなんでもですから、ここまでにしますか。
来週?未定です。

いやいやホント、あーんも考えてないですから、あはっ!

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