今週の火曜大河噺はべらぼうから距離を置いたとこで書くつもりでしたが、とてもそうは行かなくなりました。ショックでしたよねえ、一昨日放映のおきよさんの壮絶な最期

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十五夜お月さんは芳しからず、しかも天気は更に下り坂で本年は秋の名月は期待薄、
つーことですので、早速噺に入りましょう。
はい、一昨日放映の『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』第38回・地本問屋仲間事之始、ホント、鮮烈なイメージが残りましたよねえ。
私、背筋に走った怖気が、未だに消えてません。

えっと、大河べらぼう
このとこ、何ての?小説版だかガイド版だかってのが、未放送分のネタ晴れ公表をしてないとかです。
その為、今まで覗いてたWEBの先読み頁も、まあまあ色んなこと言い出してまして、どんな38回なのかは皆目検討がつかない状態で放送を視ることになりました。
副題からすればですよ。
越中守 vs 本屋 闘争の進行がメインとなる回って事は容易に見当はつくものです。
具体的に、手持のどのピースを填めるか、あっと譬喩は話をわかりにくくするか、っと、関連する史実のどの逸話を物語りするか、WEB解説者たちは、それに苦慮しまちまちな話をしてましたわ。
蓋開けてみたら、専ら過去の懐かしいキャラ達を再登場させ、暫くお休みだった吉原パートも併せ今後に繫げたってカンジでしたが。
ですので、それよりもです。

そう。
歌麿の妻・おきよの死ですよ、一昨日の回は。
ねえ?やっぱ、梅毒だった、早い段階で判明させました。
しかも、脳に回ってた…
キツネさんに解説してもらうまでもなく、こりゃ末期だ、当時の技術じゃ後は狂い死ぬのを待つのみの、切な過ぎる運命なのです。
歌麿は愈愈献身的に看護し、そして…
看取りました。

あれは狂気です。
午後8時台のTVでよくあそこまでの生々しい描写をしたもんですわ。
ハエの羽音がした?
運び出した後の畳にしみがついてた?
現実問題を考えたら、とてもでないけど、そんな生易しい話ではないですよ!
普通の密集度の住宅内に腐乱死体があろうものなら、向こう三軒両隣、臭気でとても生活できる状態でないし、ふすま開けて入ろうものなら、黒い塊となったハエがぶつかってきます。
本職の葬儀屋でさえも、嘔吐する状態…
そうだ、最近の例で遠野なぎこなんて人が、そのような壮絶な最期を遂げたんでしたわ。

同じ人間でも毎日違う顔を見せる、だから生きてるんだ、と歌麿。
愛妻だった物体が腐乱し崩れていく様を言ったんでしょうね。
そんな歌麿の台詞を聞いて九相図描写と評してる人たちがいました。
私ね、恥ずかしながら、九相図って言葉はまったく存じませんでした。
屋外にうち捨てられた死体が朽ちていく経過を九段階にわけて描いた仏教絵画?
浦ディズのホーンテッドマンションをイメージすればいいんでしょう。あ、これ↓
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↑ね。
はっきり。
違います。
歌麿が現在進行形で描いてたのは、死体でなくまぎれもなく生きてるおきよの姿。
そう、おきよを愛してやまない歌麿の目には、間違いなく生きてる姿に見えたのです。
「こころの目で見れば花は紫」梵天丸(『独眼竜政宗』)のいってたアレですわ。
時間を戻して、献身的に看病してた場面で。
話しかけても答え返すはずのないおきよが、突如返答返してみた場面がありましたよね。ほら?縁側の夕涼みの。
あれで死を暗示したと思ったのですが…
直後に病床の彼女が微笑み返してきたから、冒頭画像のとこです、ああハズレか、とリアルタイムでは流してしまったんですけどね。
後から考えてみたら、微笑み返しも歌麿の目にしか見えなかった事実、真実とは異なった事実と思えるようになってきました。
そう、やっぱやっぱ、生物学的にはこの時点で死を迎えてたのです。

それにしても、踊りのお師匠さん、随分と思い切った汚れ役を引き受けたもんですわ。
ん?藤間紫、踊りの宗家ではないですか。
素直にムラサキって読むんでしたよね。
同じ踊り兼役者の尾上紫の方はユカリですが、閑話休題。

先週も言いましたが、大河べらぼう、ホント、脚本がスゴいですわ。
森下佳子って人の才としか言いようがありません。
ageばっかでも芸がないですから今週はsageで話を続けましょうか、
それに引き換え去年の『光る君へ』の大石静っての!
アレは酷過ぎた、今年と比べ遥かに物語にしやすい素材を扱いながら、物語にすらなってない凄まじさでしたわ。あまつさえ、時代考証も滅茶苦茶、ホント、腹立たしい思いをした一年間でした。
その口直しして大きくお釣りの出る今年のべらぼうです。

けどまあ…

油断は禁物ですぞ。
いつぞやの『鎌倉殿の13人』ね。
そう、ちょうど今みたいなカンジで毎週日曜が来るのが楽しみで仕方がなかったのでししたわ。
録画は一部消えてしまったから、放送終了後に改めて集め直そう、最低でもレンタル、場合によってはヘソクリ叩いて購入してもいい…
そんな気持ちが最高潮になった12月下旬の最終回…
繰り返してるとおりの大はずれだったもんで、直前の気持ちなど淡雪に熱湯注いだが如くに雲散霧消!
その後、録画の見返しさえもしてません。

齋藤杏花(さいとうあんな)はバカっちょうじきで御座いますので、あはっ!

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------------------------------【当日追記】----------------------------------

…気が付きませんでした。
二文字屋の女将はま、前に出た時の名前はちどりでしたよ!ほら?
花の井が朝顔姐さんに差し入れたお弁当を食べちゃって、自分のせいで姐さんが死んだって狼狽してた…
立派んなったもんですね、河岸店とはいえトップにまで上り詰めたんだわ。
一体何人牛蒡抜きにしたんでしょう?

それともう一つ。

歌麿が夢うつつに見た『しゃべるおきよさん』がこれでしょうか?

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