早田夫人(顔世御前) - 尊氏の執事・高師直に行水姿を覗き見られた若妻 ~ 唇歯の関係たる視姦と露出 ~ 考えてみれば視姦症について噺したことはありませんでした
早田夫人(顔世御前) - 尊氏の執事・高師直に行水姿を覗き見られた若妻 唇歯の関係たる視姦と露出 視姦症 まだ6月だというのに8月旧盆の頃の陽気 行水 いじわるばあさん 杏花流『ウィークエンダー』 サディズムに花束を! 早田夫人 顔世御前 高師直 塩谷高貞 山内一豊の妻 女性の露出症はマゾヒズム心理の具現 弓腰姫 高橋鐵 視姦症も有効利用可能 齋藤杏花 (さいとうあんな) 齋藤杏花 出歯亀
さあ、今日は月末。
つーことはまーだ6月なんですよねえ。
同じ事ばっかの、ホント、繰り返しになりますが、この陽気は8月旧盆の頃ですよ。
その頃の風物はというなら。
古き佳きその昔に、行水などというものがありましてね。
そうそう、冒頭画像のような趣向はよく見ますねえ。
夏休みの少年が、見てはならないものを見てしまった、ってね。
うーん、いじわるばあさん漫画のネタにもなってますから、戦後もまたあったのですわ。
こっちの方は、出歯亀よ。
ばあさんにイヌの頭のぬいぐるみ作ってもらった非モテ男が、それ被って塀の隙間から、どっかのおめかけの行水覗くって。
さて一昨日の杏花流『ウィークエンダー』では、盛んに視姦症を強調しました。
その割には、今まで噺してなかったのに気付きましたので、『サディズムに花束を!』の復元未済を片付けることとします。
完全に後先、あはっ!
で参ります。
早田夫人(顔世御前) - 尊氏の執事・高師直に行水姿を覗き見られた若妻(2006年)
古典太平記に登場する逸話である。
今日風に言えば、夫の上司から不倫を迫られた女性ということになろう。副題にしたように入浴姿を覗かれたり、なんやかやとストーカー行為を受ける。
早田夫人は拒む。
彼女の夫である塩谷高貞は、邪恋に狂った師直のために、逆心ありと言うことにされてしまうのである。
山内一豊の妻を見習え。
夫の出世のためだ、裸くらい見せたっていいじゃないか?
別に減るものでもなし。
という人があるとすれば、それは男性の感覚だ。
まあ早田夫人でなくても女性ならば、あられもない姿を見られたくない。とりわけ男性に対しては。
なんとなれば、女は自分の裸や性器に劣等感を持っている。直前の投稿その他繰り返し提示しているように。
その劣等感のある性器を積極的に晒す女性…
女性の露出症というのは、例外なくマゾヒズム心理の具現だ。
そして、それを覗こうとするが視姦症…
圧倒的に男性に多いこの症状は、サディズム心理に因を発する。
男性の露出症については、再三論じているのでくどくは書かぬ。
が、ただ…
あくまでも、男性の露出症を女性のそれと同一に理解して「マゾ男性の心理だ」と論じている、
更に一歩進み「マゾ男です。S女の皆さん、僕の裸を見てください」などと発言している、
これらの諸氏に一言だけ言いたい。
男性の裸や性器を覗き見て、加虐のエクスタシーを感じる女性の事例を論拠を添えて提出して欲しい、と。
唇歯の関係たる視姦と露出(2006年)
孫夫人の稿の、その後から入ろう。
かくして劉備に輿入れした弓腰姫、初夜の寝室の周りに女侍を配置し聞き耳を立てる不心得者を見張らせるのである。
蜀人の名誉のために補足せねばならないだろう。かの時代、かの国には、新婚夫婦の寝所を取り囲み聞き耳をたてる風習があったのである。
緞帳ひとつ隔てただけの場所、ちょっと物音たてただけで丸聞こえ…
随分とまた、奇妙な風習があったものだ。
他にも中国には、つい近代に至るまで種々の嫁いびりの風習があったようなのだが、そこには至らず論を続けよう。
いうまでもなく、この奇習を裏打ちするのは窃視願望、平たくいえば覗き心理である。
そしてそれが病的なものになると視姦症、早田夫人の稿で論じたとおりだ。
これは男性固有の症状? の問いの回答は後ほどするとして、先ずは高橋鐵『アブノーマル』を引用しよう。
同書によれば、この視姦症も有効利用可能であり、その利用例として、
原子学者・細菌学者・天文学者・写真家・美術家・映画監督・撮影現像関係者・婦人科医・時計その他の機械製造および修理者
等々の職業を、視姦者風の作家として、
永井荷風・舟橋聖一・江戸川乱歩・瀬戸内晴美(寂聴)・曾根綾子
らを上げている。
参考までに反対の露出症者は、芸術家(美術・文学点演劇舞踏・芸能など)・出版業者・政治家・商品製造者等々。
示唆的に言えば、吉井勇・坂口安吾・太宰治・石坂洋次郎・斉藤茂吉・三島由紀夫・石原慎太郎らの創作態度がこれに属する、としている。
さて、先ほどの問いの回答を示すか。
なにが、男性固有の症状であるものか!
おかみさん達の井戸端会議を考えるとよい。世界共通の現象であろう?
そして、それがニューメディアに発展したのが、週刊誌・テレビワイドショー…
ここでも、窃視願望者との露出症者との需給が一致した一大商戦が繰り広げられている。
いわずもがな、ここにおける担い手もまた主として女性である。
そういえば、未だ分析に至る以前に下火となってしまった畠山鈴香。
孫夫人記事は復元済です。
そして。
視姦と露出に関する記事は、実はもう一個未済が残ってるんですが、本日はここまでしましょう。
月が開けて、いずれ折を見て見繕う、ってことで、また来月も宜しく!