いやあ、譬喩歌っちゃいいもんですね! 日本人の言葉に対する繊細さがひしひし感じられるとこです、って昨日の続きではないですが

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おあつう御座います、そして、私儀、がたがたしております。
さりげなくいいましたよね?安もんのインターネッツが慢性的に切断されてしまうって厄介な現象に悩まされ続けてるって。
てっきり、モデムが悪者と決め打ってましたが、大はずれ、とんだ冤罪だったみたいで。
原因は外にありましたわ。
なんての?外のボックスの中身を総取替なんて、大工事が入りましてね。
お陰で昨日は徹底的に時間が潰れ、原稿を起こしてる暇がありませんでした。

なので、本日の日曜万葉噺は、極簡単で済ませます。

先週久々にリバイバルさせた大伴坂上郎女で、今週も押しましょう。
一つ手前の巻三の譬喩歌にも、坂上郎女姐さんが登場します。
401、大伴坂上郎女、親族と宴する日に吟ふ歌一首 はこうです。

山守の ありける知らに その山に 標結ひ立てて 結ひの恥しつ


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山守があったその山にうかつにも占有の標を結いててて、私ゃ恥掻いてしまった…
事情説明しなければ何やら分りませんね。
彼女、宴席で、その場にいた一族の大伴駿河麻呂と自分の娘坂上二嬢とを結婚させようとして、駿河麻呂に他に女がいないかカマを掛けるわけなんですよ。
そして、不意を付かれた駿河麻呂がめげず、即レス、カウンター攻撃で返します。
大伴宿祢駿河麻呂、即ち和ふる歌一首、つづく402がこれです。

山守は けだしありとも 吾妹子が 結ひけむ標を 人解かめやも


ここでの吾妹子は、可愛いあの娘ちゃんでなく、重鎮のお姐様という意味です。
仮に山守がいたとしても貴女様の結った標を解くものなどありはしましょうか…
強い否定によいしょを兼ねた機転ですね。
これぞ譬喩歌の妙ってとこでしょう。

それでは本日はここまで、また来週をお楽しみに!

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