日曜万葉噺。『マゾヒズムに花札を!』連動は手詰まりとなりましたので、暫しは時節から離れた歌の噺をする事としましょう

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どうもいけませんなあ…
あ、我が庭のセイヨウアジサイの話です。
アジサイは無数あれど、大半はガクアジサイか甚だしくは観葉植物のアジサイ、2つを総称して高々ガクアジサイばかりなんです。
正規のは相変わらず2本だけ、しかも今年は例年にも増して元気がないんですわ。
んな訳で冒頭画像、変種のハナアジサイを出すしかありませんでした。

さてまあ、入梅してアジサイの出番となる日曜日。
そうです、そうです。万葉集の紫陽花の歌ですね。
なんと二首しかない短歌は、両方とも既出だったのでした。

言問はぬ 木すら紫陽花 諸弟らが 練りの村戸に あざむかえけり


紫陽花の 八重咲く如く 八つ代にを いませ我が背子 見つつ偲はむ



もうこうなれば、お手上げ!
暫しは季節だの花札だのからは離れた投稿をせざるを得ませんね。
なにやるか?
…って、随分前になりますが、大伴坂上郎女の別の歌はまた機会見て、っていった覚えがありましたわ。
今日は、本BLOGでも頻出の坂上郎女姐さんの歌を行きましょう。
先ず入りは巻四。~和へたる歌四首の続編から。
その直ぐ後ろの529もまた、坂上郎女の返歌です。

佐保河の 岸のつかさの 柴な刈りそね ありつつも 春し來たらば 立ち隠るがね


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ほおほお、こりゃ旋頭歌だな。
岸のつかさとは岸の高いところ、春にまればまた隠れるよすがになりましょうから、刈らないで下さいな、と詠ってる訳です。

同じ巻四の暫く進んだとこに、大伴坂上郎女の歌二首ってのが出てきますわ。
563、564を続けて行きましょう。

黒髪に 白髪交じり 老ゆるまで かかる戀には いまだ會はなくに


山菅の 實成らぬことを われに依せ 言はれし君は 誰とか寝ぬらむ


こりゃまた、モロ、万葉調のますらお振り。
最初の563は分るからいいでしょう。
後ろの564ですが、山菅とは?麦門冬と解せば、実がなりますからヤブランのように実がならないのに、という反語になりましょう。
けど、岩波の萬葉集では実がならない山の菅ととっており、私的にはこの方がすっきり来ます。
要するに恋が成就しない事をいってる訳です。
そのでっちあげを噂された貴方は、ってことで歌意は下句集約されます。

因みにです。
一説に拠ればこの歌を詠んだ折の坂上郎女は三十代半ばだったとか。
もしそうだったとしたら、齋藤杏花 (さいとうあんな)中の人も…

そろそろ白髪交じり適齢期ということかしらね?、あはっ!

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