楊貴妃 - 『養子』安禄山におしめを与える ~ そうです、牡丹に花に寓されるべきは、この人と齋藤杏花(さいとうあんな)以外にはないのです

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昨日最初の記事の謎賭けの答えは『サディズムに花束を!』にありました。
そうですよねえ、世界三大美女あと一人を出すタイミングは、牡丹の月を置いて他にはありません。
そして齋藤杏花(さいとうあんな)が…

だ~か~ら~
ええい、先に種明かししちまいましょう。
デブですよ、デブ!
そしてー

春寒うして浴を賜ふ華清の池
温泉水滑らかにして凝脂を洗ふ
侍児扶け起こせば嬌として力無し
始めて是れ新たに恩沢を承る時

白楽天の凝脂の一説ですね。
この凝脂です。
普通の女っちゃ年行くとともに脂が切れて、だからこそヌリヌリする訳ですよね。
ところが楊貴妃と私ときたら、逆に薄桃色の脂が肌から噴出してるんで化粧など無用、定期的に布で吹き取ってるんですよねえ。
後半がデブぶりの記載、侍女多数人が総がかりで後ろからおっぺさないと、浴槽にも入れない程の肥満ぶりだったということです。
いえいえ!私はとてもそこまでではありませんから、念の為。

昨日のニュースでも、女性の過度の痩身願望の社会問題を報じてましたが、少なくてもかの国の唐代にはデブ=ブスって方程式はなかったということです。
もっとも恋敵が妃の事を、あのデブ、と蔑む記載も見受けられますから、デブ=罵り言葉の方程式は共通項として存在してたようです。

能書が長くなりました、記事復元致しましょう。

楊貴妃 - 『養子』安禄山におしめを与える
(2006年)

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ともに有名な人物であるので、人物解説は割愛する。
中国は唐、玄宗皇帝の時代である。
西暦751年正月、宮中に参内した安禄山に楊貴妃は裸にし錦繍を施したおしめをつけさせる。

実はこのとき、禄山は貴妃と母子関係を結んでいたのである。
まあ彼にすれば後宮入り御免となるための方便で申し出ていたのであるが、「私の禄坊や」と戯れられては成り行きにまかせるしかない。
体重300キロの禄山は徹底的に赤ん坊のふりをすることにした。

大勢の官女が見守る前で産湯に使い体を洗ってもらう。
勿論彼は大人であるから、官女たちに股間をいじりまわられれば、それなりの反応をしてしまう。
それを見て楊貴妃筆頭に一同大爆笑、ということでその年の年賀は終わった。

まあ、今日でいうところの『幼児プレー』か?
意識してこの言葉は使わなかった。
というのは、安禄山がかかる仕儀は微塵も望んでなかったからである。
これは、専ら楊貴妃の戯れ、合意の『SMプレー』とは趣が異なる。
が、彼女のこの行為の心裏にはサディズムが存在する。母性が故のサディズムとでもいおうか?
それも、論者に言わせればかなり強いサディズムである。少なくても支配の構造ではあるだろう。

姉である女児は、ままごとに於いて大概弟や妹を自分の赤ちゃんにする。
そして、嫌がったりすると引っぱたく。
まあ、下のきょうだいのない論者は伝聞でしか知りえないのだが。

女性というのは独占欲が強いものだ。
ひとたび己が手に抱いたものがその手を離れることを認めたがらない。
自らの胎内から出たものを容易に独立人格たらしめようとしない。
そして、それが時には攻撃的な行動となって現れる。
母猫が子猫をとられることを恐れるがあまり、これを食べてしまうことがあるように。

世界各地の民話伝承の類では、大地が女性として描かれることが多い。
自然の慈しみ、そしてその過酷さ、母性のサディズム性を的確に表現しているといえるのではあるまいか。

それはそうと。
実在の楊貴妃という人物は、絵のような細身の女性ではなかったようだ。
肥満体も肥満体、超肥満体。
それ故、いつも彼女を湯浴みさせているおつきの官女たちにすれば、巨漢・安禄山を湯浴みさせるのはお手のものであったことだろう。


更にもうひとつ、今度は齋藤杏花 (さいとうあんな)らしく、笑い話と行きましょう。
かの国の笑い話集・笑府にこんなのが載ってます。

えー、とある男が某日某所で、遺骸が野ざらしになってるのを見つけた。
哀れに思い、それを埋めてやると、その晩、戸を叩く音がした。
「誰だ?」と訊くと「"ひ"」と。
戸を開けてみると絶世の美女が立っており、
「私は楊貴妃です。馬嵬で殺され長い事そのままになってました。埋めてくださり有難う御座います、つきましては…」
つーことで、一晩枕を共にしました。

その話を聞いた別の男、よし自分も!と勇み郊外に出かけ、同じ様に野ざらしになってる遺骸をみつけ、埋めて帰りました。
その晩、同じ様に戸をたたく音。「誰だ?」の問いに同じく「"ひ"」の答え。
しめたと思い戸を開けると、なんと!
立っていたのは大男の髭武者。「それがしは張飛」
「…で、…張将軍が如何なる御用で私の所へ?」

「かの折、閬中で戦死し長い事そのままになっていた。埋めて頂き千万かたじけない。
 つきましてはー、真にお粗末ながら…

  それがしのけつあなをご用立てしようと」

日本昔話にも頻出する人真似失敗談ですね。
ちなみに"妃"と"飛"は現地でも同じ音で四声も一緒です。

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