【ネタばれ注意!】ごきぶり商事痛快譚 (胡桃沢耕史) をこれから読もうとお考えの方は…って勿体つける必要があるかいな。ジャスト40年前の作品!
ごきぶり商事痛快譚 胡桃沢耕史 気象予報士の試験の難易度をもう少し上げるべき 齋藤杏花(さいとうあんな) 齋藤杏花 既視感 英主大明神 エイズ 無税の宗教法人 ユーモア小説 愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ 湾岸派兵 9条信奉者 小説離れ 自殺増加 瀬戸内晴美 他人の人生を体感 セクハラ 小説のススメ 小説は時代を写す鏡 エイズ今昔を知ってさえいれば、高々風邪の強化版でしかない2019年からの所謂コロナでああも騒ぎ立てることもなかった筈
人間っちゃ365日お天気の話ばかりしてるもの、ってことでイヌの卒倒の天気予報ネタから入るならです。
昨日は、ホント、呆れたっスよ。
朝、着てないとさびいもんで長袖羽織り、階下の雨戸開けに行ったら22℃、
まあまあ予想どおりですね。
で。ピンポイント天気予報の頁を開けてみるに、暑さがぶり返しで32℃になる~?
陽も出ないし風向きも変わらずでホンマかいな?
と思ってるうちに、今度は大雨に留意ときたもんだ。
気象予報士の試験の難易度をもう少し上げるべきと思ったところです。
さて、お相撲が終わってからの私はです。
ロストを回避すべく、昔読んだ小説でも読み返してみべえかと思い立ちましてね。
同じく階下の大型本棚に立ってるのから、引っ張りだしてきたのが、冒頭画像『ごきぶり商事痛快譚』です。
うん、確かに前に読んだはず。
プロローグの入社式で社長と3発、には覚えがあるもの。
けど、進むに連れて初見のような新鮮味を感じだし、やめられない とまらない~♪で読み進めちまったとこです。
胡桃沢さんの小説って、ホント、そんなカンジ、あ、言い出したのはじぃじです。
おっと、推測するにです。
確かにもうせん読んだのですよね。
けど一巻読み終わったとこで何か用がはいって後ろ髪引かれる思いで続きは断念しちまった、ってことでしょう。
このごきぶりは全5巻、各巻ごとに一応は完結をみるって構造になってます。
そうそう。この小説が書かれたのは齋藤杏花(さいとうあんな)中の人の生まれる以前なんですよ。
なのになんか既視感がある。当時の時代模様がひしひし伝わって来ます。
『英主大明神』には笑いましたね。
そうでした、そうでした、昭和の末期、恐ろしい感染症『エイズ』に全世界が震え上がったんでしたね。
物語について説明しておきましょう。
入社式で3発させてもらった社長、実は芳紀18歳の乙女なんですが、忠誠を誓ってシンクタンクとして働き出した主人公『ぼく』との関係が二転三転した、物語全体からすれば中盤の逸話なんですが。
無税の宗教法人の利点に目を付け、カリスマ性の高い社長を巫女に仕立て悟記仏理(=ごきぶり)教を始めた次の会の逸話です。
時奇しくも、不治にして死亡率100%のエイズに対する不安が広がってきた折、福原歓楽街の風俗嬢の懐を狙う商売を思いついた『ぼく』が思いついたのが『英主大明神』なんです。
有難い法力でエイズの恐怖から免れる、ということなら面白いように金は集まる、でめでたしで終わったその回でしたが。
次の回で第四常務の『ぼく』は社長その他先輩常務から、いつもの体罰を喰うことになります。
エイズ治療という宗教外活動だから、課税と。
ま、それならそれで普通に儲かるのですが、それが通ったんじゃユーモア小説ではありません。
さてまあ、ここで本稿のカテゴリの注目です。
ん?何で新型感染症?とお思いになって頂けば齋藤杏花(さいとうあんな)のほくそ笑むとこです。
そのとおり、昭和末期にはエイズという新型感染症で大騒ぎになってました。
んで、云われたよう人類の1/3は死に絶えましたか?
ふん、根絶したの?
エイズ今昔を知ってさえいれば、高々風邪の強化版でしかない2019年からの所謂コロナでああも騒ぎ立てることもなかった筈です。
「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」とか申します。
けどまあ、小説の前にはこれは意味をなすものではありません。
小説は時代を写す鏡…
このとおり小説を読み既視感を味わうことで、歴史を経験する事ができるのです。
もうひとつ物語のご紹介するなら、五巻最後全体のフィナーレでは湾岸派兵のお噺となります。
すでに内閣諜報局までに大出世してるごきぶり商事は、難民を積極的に受け入れ日本からの派兵に偽装して送りこむ事で、見事9条信奉者を封じ込め四方を丸く治めるのです。
既に齋藤杏花(さいとうあんな)中の人が誕生してたこの頃に、移入難民の社会問題が芽吹いたこともわかります。こまっけえ事をいうならセクハラという言葉が出回ってた事もわかりますし。
ここまでが歴史を体験できるという小説の効用。
さらにもう一つの効用はといえば、他人の人生を体験する事が出来ること。
ごきぶり商事痛快譚を読んでる時点の読者は、『ぼく』始め多くの登場人物に成り代わってその人生を体感してるわけです。
小説離れや自殺増加の原因は?と問われ、
今の人達が簡単に凹むのは小説離れで他人の人生を体感する事がなくなったから、
と言ってたのは瀬戸内晴美でしたね。
将にその通りです。
さあ、皆さん。
精精小説を読んで、多くの他人様の人生を体験し、人間に奥行きを作りましょう!
以上、齋藤杏花(さいとうあんな)流『小説のススメ』でした。