アン・ボニー - 18世紀初頭のカリブ海を暴れ回った女海賊 ~ 夢とファンタジーの王国を考える

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お待たせしました!
今日は旧暦8月15日、つーことで今晩が2024年の仲秋の名月となります。
ん?秋の半ばなんて冗談!ですと?
ですから、一番暑いのが夏なんて、誰が決めたってんです?
太陽熱で温められた地面なり海水なりが空気を温めるまでが2月ほどあり、そのタイムラグがむしろ秋を暑くするわけです。

ちょっと前にSNSを賑わしてたネタに、若者のディズニー離れというのがありました。
元ネタを調べてみるに、テーマパーク離れなのですが、大して権威あるソースでもありませんので、この際どっちでもいいでしょう。
更に云うなら件の提言者、一義に金銭の事をあげていて、的が外れてると思料しますので、無視して噺を進めるものとします。

少なくても我が家に於いては、あからさまなディズニー離れです。
何せいつもの誰かさんこと私の実父が誕生日が同じって縁もあって、開設の頃は月1で通ってたとか。
ところがある時を境にピタリやめてしまって、その後は幼少の我々を家族サービスで連れて行ってくれる、ってタイプに変身しました。
本人の言によれば趣旨とは違ったものに変質してきたから、とのことです。母や他の年長者達もこれに倣うってとこなんですが、私の見立ては少々ニュアンスを異とします。一言で括ればお仕着せなんですよ。
ほら、夢を与えるってお決まりの。プライドの高い我々一家は、それが鼻に付くようになるのでしょう。

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えー、夢とファンタジーですか。
あのね、ディズニーアニメのキャラって、オリジナルと他原作からの転用との二通りがあるんですよね。
案外これが知られてない、全部をウォルトの創作と勘違いしてる人が多々居ます。
果たしてあのりかちゅう氏は…
ってなんなんでしょう?
戻せば、プーさんなのてのは、AAミルン原作、石井桃子訳の児童書からの転用です。
ピーターパンなんてにも英ジェイムス・バリの児童書、本日の『サディズムに花束を!』復刻は、そこからの発展です。

アン・ボニー - 18世紀初頭のカリブ海を暴れ回った女海賊
(2006年)

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女海賊アンの処刑は記録に残ってなかったか?
「世のへなちょこ男への見せしめのため、とっとと吊るしな!」と啖呵をきって果てたというのは、論者の記憶ちがいだったようだ。
大方、多くの映画等で描かれる彼女のどれかが頭にこびりついてたのだろう。

過去稿で幾度か閉鎖社会におけるサディズムの発露例に論及んだ。
閉鎖空間の上逃げ場のない地理的条件にある社会は尚更、人間が潜在的に、顕在的に持つサディズムが暴走する事例が多い。
例えば鉱山だ。仲間一人を集団で殴り殺し、その場に埋めて全員で口裏を合わせたという(大昔の)事件証言はしばしば聞かれる。
そして船。こちらの方がより…
海に投げ込んでしまえば、山のように掘り返して死体が出てくるわけでもないのである。

さて、アン・ボニーのそんな『職場』はどんな世界であったのか?
童話のピーターパンでも思い返すか。フックの海賊船の章である。
先ず、このフック船長、右手が手首より先が欠損しており、義手として鉄鉤をつけているという人物設定だ。
甲板を掃除する日常風景で船乗りたちの紹介がされ、いよいよフックの段に。

「船員の一人がフックとぶつかり洒落者の彼のレースの襟をくしゃくしゃにしてしまうとしよう。
ははは、と笑った船長は、右手鉄鉤を船員の頭にかけ真っ二つに裂く。
他の船員たちは、断末魔を残し絶命した船員の死体をザブンと海に放り込み、何事もなかったかのように甲板掃除を続ける」

こんなところであったか?
ついでに書けば、フックの右手を切り落としたのはピーターパンだ。
ピーターは面白半分、切り落としたフックの右手を下にいたワニに与えるのである。
フックの血の味を覚えたワニは以降『本体』を狙って追い続け、最後またしてもピーターパンの与力でその宿望を適えることになるのだか。
今思い出せば、よくもまあこんな残酷な話が、子供向けファンタジーの名作として全世界の少年少女に読み継がれているものだ。
改めて、子供とは残酷好きなもの、との感を深めるところである。

元に戻す。
童話は童話としても、全くの荒唐無稽、事実無根の作り話というわけでもなかろう、騙し易そうで案外と騙せないのが子供である。
海賊社会とは、さしたる理由もない人殺しなど日常茶飯の世界であったことは間違いはあるまい。アンが殴りこんだのは、かくも殺伐とした男社会なのである。
そんな海賊家業に身をおき、女人禁制の掟などなんのその、名をなした彼女の日常は押して知るべし。
そして、その心裏も自ずから量り得るというものだ。

実力主義の建前が通じるのは無法者の社会だけ、よく言われる。
ホントですよ。
昔はよく、こんな残酷なものが発禁にもならず子供向きに出されてもんです。
齋藤杏花 (さいとうあんな)は往時、英国の通貨単位に興味を引かれて不気味さなんのそので嵌ったのですが、これとてジョンやマイケルを堕胎するかどうかの計算をしてる描写だったのです。

ディズニーの残酷ものか。
ピノキオなんてのもね。
前に言ったかな?ウォルト自身が『ピノキオの良心』と解説してたコオロギね。
あれはピノキオその人(?)に殺されてしまうんですよね。
他にも毒殺の白雪姫
先程言いかけたりかちゅう氏の説どおり、ウォルト・ディズニーが人格破綻者だったとするならです。

それらしい残酷ものを選って転用したのかもしれませんね。

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