さて、三週連続の遣新羅使人の歌になってしまった、本齋藤杏花 (さいとうあんな) の BLOGです。イヌの卒倒も芸がないですから、今日は少しアダルトなのを

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月が開けてまた朔が巡って参りました。
9月の1日、震災忌ってことで防災の日となります。
つーことで、奴等、今日まで…

いえいえ、とうに消えてるはずなのに未だ言われてる台風10号の事です。
くどいようですけどなんか胡散臭い、熱帯低気圧が台風になるための条件の風速なんて(言葉が厳格な割には実体は)極めて曖昧なもの、加えて17M/Sの前に『おおよそ』が付く徹底振りですもの。
これは恣意でどうとでもなる、といっても過言でないでしょう。

それにしてもこのサンサン台風、本当に進みがゆっくりでしたね、アンダンテのときもあったのかしら?
ん?だからー、
歩くような速さで、ですよ。
しかしまあそれでもなんだかんだで瀬戸内海は抜けてしまった、
そうということなら、瀬戸内海を渡るのに1月以上掛かった天平8年遣新羅使って、一体どんなペースの航行だったんでしょう。
てな訳で、恒例日曜万葉噺は、今日遣新羅使人の歌になるのです。

瀬戸内旅情ばかりでも芸がなし、今日は少し曲り球を混ぜましょうか。
同じ巻十五の連番であっても3584-3585は直近2週とは若干趣を異にします。

別れなば うら悲しけむ 吾が衣 下にを着ませ 直に逢ふまでに

吾妹子が 下にも着よと 贈りたる 衣の紐を吾れ 解かめやも


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贈答歌ですね。
作者不詳ですが、某遣新羅使の妻の3584に無名遣新羅使が返した3585ということで正解です。

これは激しくもストレートな歌ですよ!
せめて私の下着を肌につけてって、んですから、間違いなくアダルト範疇です。
そして夫の返しも気が利いてますよ、下着の紐を解くってのは、即ち各地寄った先の女とおねんねするって事、解きはしないと反語で禁欲を誓ってるわけです。

今日の尺度で量るなら間違いなく、下着フェチ、とんでもないエロサイトの活躍する世界になります。
んで、この当時の価値観ではどうなってた?
ここで、犬養先生の万葉の人々・第3回 霊魂です。
万葉人の信じてた魂の概念…
人の持つ魂は物を媒介にどんどん増殖するってあれです。
つまり。

妻が自分の肌着を付けてってというのは、旅の間中私を抱いててください、ってことなんですよ、次に実際会うまでは。
世界一性に能動的な日本女性の面目躍如、そして女でもますらをの万葉調なのです。
勿論そこには現代でいうとこのフェチも入ってるでしょう。
けど、主観的な捉え方が180度違うってわけです。

いってみれば古人の魂の概念は、原始フェチズムとでもいうべきなんでしょう。

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