さて、せめても机上で吉野の山川に思いを巡らし、涼しくなられたらと存じ、本稿を捧げます

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先ずは。
何ですか?夕べ宵の口!
あ、ゴリラゲイ雨ってんですよ、昼間ケもなかったのに激しい雷鳴と雨音でしばらく寝付けなかった程で。
意地が悪ぃなあ!これが昼間だったらどれだけ助かったか。
ねえ、垂れ込める雲で熱が閉じ込められて、降ったのに気温は下がらず、大熱帯夜!
天に文句言ってもしょんねんスけどね。
今晩は満月、バックムーンであります。
んで。

you might…つーことでお暑う御座います。
さもありなん、明日22日は一年のうちで最も暑い時期といわれる二十四節季の大暑ですもの。
そしてもう土用に入ったんですね。
うん、今年は二の丑がある、24日と来月の5日です。
土用の丑はご存知ウナギを食する日、ってことで2度のご馳走にありつけることになります。

日曜日は恒例万葉集談義の日、ここでウナギの歌が披露できればいいのですが、随分前にやってしまった、あれ以外には万葉集、ってか和歌の世界にはウナギが登場しませんねえ。仕方ありません。
ここは久しぶりにカセット講座『万葉の心』からそれらしいのを探してみましょう。

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四巻A面・『吉野の山川』に涼しげな歌が載ってました。
先ずは、巻三375の湯原王です。

吉野なる 夏實の河の 川淀に 鴨ぞ鳴くなる 山蔭にして


夏実ね、菜摘。宮滝よりやや上流に位置します。
山陰日影、炎天下でも気温が10℃以上違ってきますよ。
なるなるで、鴨の姿はみえてません。

作者の湯原王は天智天皇の孫で志貴皇子の子、前に少し触れました。

もう一首行きましょう。
巻六・雑歌の段のトップに、元正天皇の723年夏の吉野行幸の折にお供の歌人・笠金村が詠んだ歌が出てきます。
講座では長歌部分は省略され、反歌が解説されました。

山高み 白木綿花に 落ち激つ 瀧の河内は 見れど飽かぬかも


白木綿花と。楮の繊維で作った造花です。
この時代に造花があったのも意外ながら、それに滝しぶきに喩える感性もまた意外に感じられます。

723年、養老7年というなら。
有名な三世一身法の発令された年ですわ。

壬申パワー、万葉集ともに円熟期を迎えた頃です。

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