日本には優れた女流文学者の先駆が上代から。某国営大河の紫式部を意識した訳でもないのですが、今日の万葉噺は女流歌人です

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横綱・照ノ富士、やっぱ、休場でしたねえ。
不謹慎ながらホンネ云えば、ナイスなタイミングで記事を書いた昨日でした。

んで、冒頭画像。
庭にドバトが一羽、居ついちまいましてね。
ハトって、ほら、スゲー悪声っしょ?
ポッポッポなんてリズミカルな音じゃない、
なんてえか、錆付いたポンプを押してるような低周波数の不快な。
それがどうも近くから響いてくるものでお台所から庭に飛び出してみるに…
松の枝に隠れて鳥の形のような影が。
ひゃっ、魂消ましたね、近づいてもと逃げないんですわ。
植木支えの棒で枝突いて追ん出しても、ブーメランの如、直ぐにUターンで戻ってくるんだな。
参った、人間恐れないってんならカラスと一緒だ、ケンカしようにもこっちは羽がなくて飛べないんだから、ハンデが大きすぎます。
人為的に作り出した生物てんですから、もう処置なしってとこです。

今日は日曜日で万葉集のお噺をする日。
万葉に鳩の歌は?
…見つかりません、
ま、ないんでしょう。
仕方ありません、近いとこで、呼子鳥の歌でも。
この呼子鳥ってのは、一般的にカッコーのことといわれてますが、ヒヨドリという説もありいまいち実態はが掴めぬものの、一応歌枕ではあります。
巻八の春の雜歌の2番目に登場します。

神名火の 伊波瀨の社の 呼子鳥 いたくな鳴きそ わが戀まさる


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作者は鏡王女。
本BLOGでは初出でしたか。大物の女流歌人が残ってたものです。
そう、おほきみ でも王女記載だから一発で女流と分かります。額田王と違って。
再び、そう。
こ尋常に 聞けば苦しき 呼子鳥 聲なつかしき 時にはなりぬの鏡王女、従前は額田王の姉といわれていましたが現在は否定されてます。
藤原鎌足の正妻で不比等の母とも記載されますが、これまたガセで、兎も角謎の多い人物です。
が、歌は非常に素直、いかにも万葉女流らしい情熱的な恋歌です。

もう一首、見ましょう。
同じ春の雜歌のラストに、また呼子鳥が登場します。

尋常に 聞けば苦しき 呼子鳥 聲なつかしき 時にはなりぬ


1447は大伴坂上郎女の姐さんの作です。
はい、大伴家持の叔母さんで家持に歌の手解きをしたのでしたね。
右ノ一首ハ、天平四年三月一日ニ佐保ノ宅ニシテ作ル。の左注が付きます。
大伴宗家にて、恐らくは異母兄の旅人を訪ねた折の歌でしょう。

平素は聞き苦しいと感じる呼子鳥の声が恋しくなる季節になったなあ…
ここらの卓越した感性が坂上郎女の持ち味なんでしょう。

カッコーは「かく恋ふ」に通じます。

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