伊勢物語と七言絶句と ~ 某国営放送大河ドラマ『光る君へ』を今度こそマジにレビューしてみる 

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今年は忘れませんぞ~ 2月14日。
だからチョコレートじないよ、マサカド様の命日ですよ。
千年以上の長きに渡り、坂東の地を守り続けた…
進駐軍のジープをひっくり返したのは、間違いなく記録の辿れる昭和の出来事です。

何せ意外にも、御堂関白藤原道長より一世紀前の人ですから、
と噺は、某国営放送大河ドラマ『光る君へ』になるんですよ。
意外にも結構ネタになるわ。
何せ究極の少女漫画大河、乙ゲー大河ですからね。
りかちゅう氏は、前作『どうする家康』が格好のおもちゃと云ってましたが、齋藤杏花 (さいとうあんな)は断然『光る君へ』だな。
ねえ、御覧なさいって。
直近が小柴垣草紙でその前が平中の遊び
もう完全カンペキ、ネタ専用にしちゃっちゃってます。
けどまあ、これじゃ番組フリークの方が怒鳴り込んでこないとも限らない。
つーことでございますので、少し直球を混ぜてみるとしましょう。

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第六回「二人の才女」ではウタクラベが登場しました。
ですので多少守備範囲に入ったわけですが。
漢詩ねえ。
成程万葉集より成立が早いのが懐風藻だ、確かに日本にはあったはずですが、"カンシ"なんて言い方したでしょうかねえ?
いぶかって調べてみれば、やっぱ、当時は単に"詩"といわれてましたわ。読み下すとすればカラウタです。
んで、詠まれた詩をばと調べてみるに、公任以外は全部白楽天でしたわ。
ねえ?三十路が人生の1/3なんて人生百年時代なんてのは、かの国ではかなり古くからあったわけです。

公任のは本人作の変形、ただし弄ったために脚韻が合わなくなったのは愛嬌です。
七絶ですからご存知のとおり、承句結句で韻を踏まなければならないってルールです。
韻ってのは同音であるのは勿論の事、四声も同じでなければならないんですよ。
四声…
四パターンのアクセントのことです。
二分すれば平らな音とくねる音との二つになり、これをもって平仄という言葉になります。
んで、詩においては平音と仄音が交互に出てこなければならないって、非ネイティヴの我々には大きな壁となる、知られざるルールもあるのです。

かつて、国交正常化の折にかの地に渡った田中角さんが、余興に漢詩をと、文字通りの余興をやったことがありました。

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そして番組の最後、またウタが出てきましたね。
今度は歌、ヤマトウタです。

ちはやぶる 神の斎垣も 越えぬべし 恋しき人の みまく欲しさに

これまた、なんやらどっかで聞いたような…
ってさもありなん、これは伊勢物語ですわ。

ちはやぶる 神の斎垣も 超えぬべし 大宮人の 見まくほしさに

気付いてみれば、"恋しき人の"なんて俗っぽくて如何にも違和感のあるとこです。
早速に気付いて「本歌取り」だと指摘した人がいましたけど、それは違いますね。
本歌取りには案外とこれまた明確なルールがあり、これは全くあってません。
思い出してください、実朝の代表歌「大海の~」でお噺ししましたね。
けどまあ、改作の間違いと指摘する向きも必ずしも正しい指摘とはいえません。

なぜならば、歌は皆の共有財産だったからです。
そう、かつて、個の権利意識の概念が確立されるまでは、皆で同じ歌を歌いました。
だから歌ってくらいでしたね。
ドラマでも道長はその共有財産を持ち出しました。
いつのころから歌が死んだかといえば、少なくても19世紀より前って事はないでしょうね。
欧州個人主義が著作の概念を持ち出したのが19世紀ですから、我国は20世紀と思料します。

とまあ、否定、否定ばかりでも何ですから漢詩に戻って肯定的に発言をば。
劇中の書、あれそれぞれの役者さんなんですってね。
いや、驚きました、素直に脱帽です。
相当練習したんでしょうねえ。
そっか、だから売れっ子役者は…
おっとぅ!

また悪口になりかけたとこで終わりにします、あはっ!

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