先週に引き続き房総の万葉歌、行きましょう。下総やったんだから順から言うなら上総ですよ。折りしも赤字ローカル線廃止の…

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相変わらずの雨降りの中、気温は上がったり下がったり。
天気予報じゃないけど、ホント、服装の調整には悩まさせるこのとこです。
うん、人間様は衣類で調整できるからまだいいのかもしれない、これが植物となればそうは行きませんからね。
さっさと季節先取りで入れ替わり、先週、下総をやった折とはうって変わった庭の景となっております。
春の白一色に変わって、ハナズオウの紫が目に付きます。

それにしてもねえ。
下総と上総って何でこの位置なんだろ?
あ、意味わかんなかったか、逆じゃないかって云ってるんです。
…それでも近隣の方以外はピンとこないでしょうね。
房総の入り口の方が下でその奥に上が控えるんです。
うーん、不思議。
で、答えは?
律令時代までは房総に入るのは海路だったから。
古事記のヤマトタケル伝にもありましたよね。

あの折にもちらり話の出た馬来田です。
そうでした、ドーベルマン騒動
単に木更津付近の地名といわれてたここらが、あれですっかり近くが全国区となりました。
岩波の萬葉集の解説に拠れば、君津郡馬来田村。現在富来田町…
前置きが長くなってしまいましたね。
歌いきましょう。
右の四首は、下総國の歌、巻十四3382-3383 がこれです。

馬來田の 嶺ろの笹葉の 露霜の 濡れて我來なば 汝は戀ふばぞも

馬來田の 嶺ろに隠り居 斯くだにも 國の遠かば 汝が目欲りせむ

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馬来田、この時代は うまぐた と読みました。万葉仮名では宇麻具多ですもの。
中味は解り易い恋の歌、相聞歌ですので、これにて切り上げて余談に戻します。

何で馬来田にここまでこだわるかというなら実は個人的な知己がありましてね。
この久留里線沿線の原住民です。
久留里線もねえ…
営業係数全国最悪とは、正直意外でした。
廃止の話も聞こえてますけど、止むをいない仕儀でしょう。

だって、誰(=だん)も乗んねんだもの!

齋藤杏花(さいとうあんな)をご存知の方は大の地元贔屓だということは先刻ご承知でしょう。
その杏花をしても庇いきれないのが、交通事情です。
千葉駅以遠(の現状)をごらんになればきっと呆れられることと思いますよ。
車がなければ命すらなくなってしまうと思い込んでる愚かな原住民たちなのです。

馬来田の方を例に取れば、彼、幕張の支店だったんですよ。
これは大変だ!である日、牛久支店へ移動になったんですよ。
もー、大喜び!周りの羨望もしきり。
だって、通勤時間が10分程度にまで短縮されたのですから。
そのくせ通勤手当はですよ。
久留里線でノトノト木更津に出て内房線で五井へ、そして小湊鉄道を長々戻るってルートで出るのですから。
遠方の幕張よりむしろ多額…

一事が万事、乗らないから益々減便になる、減便になればいよいよ乗る者もなくなるの悪循環で、どんどん赤字が膨らむのです。
万葉にも登場する地名であることからもわかるようにそんな辺鄙な土地でもないのに、人類未踏の地であるがごとくの関東最後の秘境へと。
これでいいのでしょうかねえ?

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