続・千数百年前の歌集・万葉集にも今旬のLGBTがあった?!何と古くて新しい古典!!

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このとこ投稿の進んでいる齋藤杏花 (さいとうあんな)です。
かくしてるうちに、金星と木星の接近も(身頃は)今日まで、そして明日は二十四節気の第三・啓蟄となります。
冬籠りの虫が這い出る頃、つーことで恋も目覚める頃、つーことで無理やり、先々週の大伴池主 (♂)と越中守・大伴家持 (当然♂)の恋の続きのお噺をいたしましょう。
万葉集巻十八には、池主の三首に続け、越中國守大伴家持ノ報ヘ贈ル歌四首、が収録されてます。

先ずは4076、古人ノ云ヘルニ答フです。

あしひきの 山はなくもが 月見れば 同じき里を 心隔てつ


池主の、古人ノ云フ、4073

月見れば 同じ国なり 山こそば 君があたりを 隔てたりけれ


への返歌です。

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続く4077が、先々週俎上にあげた4074への返歌、詞書は割愛します。

我が背子が 古き垣内の 桜花 いまだ含めり 一目見に来ね


背子に注目。
そうでしたよねえ。♀にとっての夫のことでした。
ですので私、最初はこれ、代詠歌だと思ったんですよ。
つまり、家持が♀視点で雅な恋歌に返した、と。
ところがさにあらず、岩波の萬葉集の解説に拠れば、二人はお互い背子を二人称代名詞に使ってやり取りをしていたというのです。
ここらが本稿のキモになるのでございますが、ま、ま、先に最後まで歌をみてしまいましょう。

4078は4075、池主の 所心ノ歌

相思はず あるらむ君を あやしくも 嘆きわたるか 人の問ふまで


に答える歌です。

恋ふといふは えも名付けたり 言ふすべの たづきもなきは 我が身なりけり


うーん、中々。更に家持は 更ニ目ヲ属クル 4079 を続け畳み掛けます。

三島野に 霞たなびき しかすがに 昨日も今日も 雪は降りつつ


これで4首、家持の方が一首多くなりました。
しかもどれも結構アツい!
最初代詠などと思ったのが、バカみてえ!ってとこです。
つーことは家持も可也のホンキという事が分かります。
同性愛者?

さにあらず、池主はいざ知らず家持は…
思い出してやって下さい。
家持を巡る女性ってのがあったっしょ?
家持は後世の業平相当の恋の達人なのです。
うーん、好きに女も男もない
いや、ホント、恋の達人は相手の性別を選ばず、おりしも21世紀日本はLGBTとやらの推進をしてますが、家持をイメージキャラにしたらいいと思います…

ここで「あはっ!」ではないです。
真面目も真面目、大真面目です。
齋藤杏花 (さいとうあんな) は同性愛なんて聞くだけで虫唾が走ります。
けど、2回に亘って取り上げた巻十八4073-4079を読んでもその怖気を微塵も感じることはありません。
将に万葉集は全編愛の歌集。

歌とはすばらしくも恐ろしいものです。

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