今日は再び名もなき女性の歌、投稿形式もオーソドックスに行きます。歌が非常にイレギュラーな技法を駆使した一首ということもありますし

この歌、いいたいことは下の句の「見れば恐し見ねば悲しも」。あなたに会えば恐れ多い、会わなければ悲しい。高貴な男に愛された女の歌。上の句は女の気持ちを具象的な映像にする序詞。あなたって雷のような。『万葉集』巻第七から。
[四季]天雲に… 長谷川櫂(寄稿)
2021/06/25
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 ◇天雲に近く走りて鳴る神の見れば恐(かしこ)し見ねば悲しも 作者未詳 

天雲に 近く走りて 鳴る神の 見れば恐し 見ねば悲しも

(作者未詳)

この巻七1369、雷に寄す、とあります。
てな具合に、日曜恒例の万葉投稿、今日は王道ルートで歌から入ってみました。

『恐し』について一言添えましょうか。後述・読売新聞の長谷川櫂[四季]では、『恐(かしこ)し』とルビ表記し、また岩波書店・萬葉集の欄外訳では『見ねば』の前に(畏敬の念に耐えずに)と注釈の括弧書きをしてました。
高貴な男に愛された女の歌という訳でして。

特記事項は上句がそっくり序詞になってて、実質中味は下句のみという点です。
小倉山の人麻呂と全く同じ構成、でも件の百人一首3番が到底人麻呂とは思えないような駄作中の駄作なのとは対照的に、本『雷に寄す』は正統の序詞です。
そう、具象的映像の『鳴る神』が出てくる事で、女の内心がぐっと引き立つのです。

うーん。やっぱ[四季]天雲に記述に似てきてしまいましたねえ。
先程ちらっと言いましたが、実はこの歌、25日の新聞に載ってたんですよ。
はい、長谷川櫂さんの連載コーナー。
WEBでは限定記事になってたので止む無く、ほがの多くの人たち(他の詩やってるのと)同様手スキャンしてみました。
冒頭画像もそこからの切り出し。

いやあ、縄文土器並みの古道具でやったにしては上出来ですよ。
目だった曲がりもないし。
ん?ナニ言ってやがる!ですか?
まあまあ。

少なくとも、ここで載せたのより数倍マシ、あはっ!

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