そういえば去年のFBでは一番好きなこの歌の話をすることがありませんでしたね。ですので本稿はFB復刻カテゴリにある書き下ろしネタです

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さて連日の毒舌は小休止して、今朝は万葉ネタ。
去年、FBやってた折は、この歌はとりあげませんでしたね。
タイトルにしましたが、齋藤杏花 (さいとうあんな)の一番好きな歌なんですわ。
万葉が好きな(女の)人に話をきけば大抵は額田王が好きだからと。
そして先ずは第一に、紫野をあげますけど、へそ曲がりの私は断然これです。

つーことで。

さらにさらに、もうひとつ。
万葉集には藤原鎌足の歌もあります。

鎌足といえば、ご存知藤原氏の祖、中大兄皇子のブレーンとして大化の改新を推し進めた大偉人です。
さて、どんな歌でしょう?

    内大臣藤原卿、采女安見児を娶りし時作る歌一首


   われはもや 安見児得たり 皆人の 得がてにすとふ 安見児得たり
 

エラい人だって僕はマアマア、安見ちゃんをお嫁さんにできたよ、みんなの人が得ようとしても得られないという安見ちゃんをお嫁さんにできたよ(ウレチイナ)

如何です?
…まるで厨! いやさ消!!
なんとなんと、これがあの超切れ者、藤原鎌足の歌なんですよ~。

でも、大好きな采女、安見ちゃんと結婚できた喜びが、よーく伝わってきて、ほのぼのとした気分になりますよね?

こんなことを言ったらクレームがでるだろう、とか、こう言ったら人からウケるだろう、とかウジウジ考えるのは愚。
鎌足のように、心のなかにあるものをストレートに吐き出せばよいのです。
そうすれば、千四百年近くあとの人たちにも読み継がれ、その心を揺さぶることができるのです。

某所ではこれを『テンションが高い状態→×』といいましたが、言葉としてはちょっとニュアンスが違ったかもしれません。

とまあ種明かしをすれば、つーことで以降ここまでは、『エラい人だって』と題し2005年05月06日に『目指せ!! 平成の女蜀山人!』に投稿したものなんですわ。
ねえ?文章も幼いし、当時のネット符牒が散りばめられてますわ。

んで、書き下ろしに際しアダルトな記載をチト加えるなら。

采女下賜などという破格の厚遇!
誰しもなんとなく察してることをはっきり明記してるのは今東光毒舌日本史だったかな?
安見って采女は鎌足に下賜される際に、既に中大兄の子を宿してました。
皇子の出した条件は、

「生まれた子が女だったらオレに返せ。男だったら嫡子としてお前が育てろ」

して結果は男だった。これが藤原不比等、あの藤原家の血は何を隠そうDNA的には、天智天皇の血筋なのです。

とそれはさておき、安見ちゃんに話を戻せば。
犬養先生の講義の余談にありましたが、先生の生徒のうちに安見子という名前の人がなんと4人も居たそうですよ。

「ああ、それはいいお名前で。きっとお父様が万葉集がお好きで」

と向けると、4人とも一様に、

「先生、そうおっしゃってくれるのは先生だけで、ちっともなくない。みんなアミコ、アミコと云って正しく読んでもらったことはない」

名前とは親が子に対して最初にする押し付け、あはっ!