百船の 泊つる対馬の 浅茅山 しぐれの雨に もみたひにけり ~ 殺伐とした話ばかりでもなんだから、ここらで万葉ネタをもってきてみる。これ去年のFBではとりあげなかったんだ。だとすると15年半前のあれで…

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そうなんですよねえ。
去年のFBは10月末でカンペキにデータ落としちまってたんでしたわ。
ちょうど今頃、今日の気候にぴったりと思い出したこの歌を、とりあげてた訳がありませんでした。
ですので復刻カテゴリにありますが、復刻ではありません。

百船の 泊つる対馬の 浅茅山 しぐれの雨に もみたひにけり


万葉集は巻15、3697になります。

もみたふ = 紅葉たふ・黄葉たふ が利いてますよねえ。
万葉集においては、黄葉>紅葉、それからもみぢも
もみち

と清んで読んでました。
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作者は対馬娘子・玉槻(たまつき)とある。
恐らくは対馬に住まう遊女でしょう。
そう、つい最近、近代になってガッコなどが登場するまでは、遊女が一番の教養人で、男の人たちは彼女らに勉強を習いに行ってました。
いや、近世どころか近代になってからも戦前まではそんなもの、池波正太郎さんあたりも男の作法その他の手記に散々書いてます。

さてさて、しっとりと濡れたこの風情。
ほんに品のあるいい歌です。
…誰だよ?誰だよ?玉スキなんて品のない事いってんの!
お義姉ちゃん(其の弐、ネットにも登場してる久仁子さん)なの?

えー、15年半前とは状況が変わってますので、サゲにも変化を持たせました、あはっ!

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(同年12/9)

大変なマチガイしてた! 先ずは謝っちゃう、ごめんなさい!!
歌の作者を間違ってました。

百船の 泊つる対馬の 浅茅山 しぐれの雨に もみたひにけり


この作者は単に遣新羅使人と記されてるだけの詳細不詳で、玉槻の歌は同じ巻15でも少し後の3704、

黄葉の 散らふ山辺ゆ 漕ぐ船の にほひにめでて 出でて来にけり
 

こっちでしたよ!
なんかミョーに、黄葉=もみちは が頭にこびりついててむやむやしてたんですが、やっぱ気になる時って…これですっきりしました。
大した間違いでないかもしれませんが、噺のキモの部分ですからねえ。
いやあ、お恥ずかしい。穴があったら入りたいですよ。

思えば15.5年前も、同じ勘違いで誤情報配信してたんですよねえ…
妙に突っかかってくる人があって首をかしげてたもんなのですが、こういった事(の積み重ね)が原因してたんですね。

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